育児休業中の社会保険料免除とは?制度のポイントをわかりやすく解説!

 こんにちは。就業規則サポートセンターです。
7月は賞与を支給する会社が多いですよね。会社で総務労務のお仕事をされている方は大変お忙しい思いをされているのではないでしょうか。今年は4月に改正育児介護休業法が施行され(一部は10月施行)、これまでより会社が対応する事柄が増えて、さらに忙しくなったと感じている方も多いと思います。改正育児介護休業法では男性の育休取得率公表のほか、柔軟な働き方を実現するための措置など、様々な施策が盛り込まれていますので、今後はさらに育休取得者が増えることが予想できます。

 さて、育児休業関係の届け出は多岐にわたりますが、その中で気になるものの一つが社会保険料です。一定の条件を満たせば健康保険と厚生年金保険の保険料が免除されますが、その制度はなかなか分かりづらいので、今回はその仕組みと注意点を分かりやすくご紹介します。

○社会保険料が免除される条件
【月額保険料の場合】
育児休業期間中に係る月額保険料については、休業開始月の末日を含む育児休業、または育児休業の開始月の末日には休業が終了していても、同月に14日以上の育児休業を取得した場合は、その月の健康保険料および厚生年金保険料が免除されます。
以前は育児休業の開始月と終了月が同一で、かつ終了日が月末でない場合、その月の保険料は免除対象外でしたが、現在は「14日以上の取得」という新たな基準が設けられています。

☆ポイント

  • 14日以上の育児休業を取得していれば、月末に育休を取得していなくても免除対象になります。
  • 土日・祝日などの休日も「取得日数」に含まれます
  • 就業予定日がある場合は、その日数を除いて14日以上である必要があります

具体例で表すとつぎのようになります。

  • 6月21日〜7月2日まで育児休業(12日間)を取得 → 6月分の保険料は月末に育児休業をしているので免除対象。
  • 6月10日〜6月23日まで育児休業(14日間)を取得 → 6月分の保険料は免除対象。
  • 6月16日〜6月29日まで育児休業(14日間)だが、うち2日間は出勤日 → 実質12日間のため、免除対象外。

このように、「14日以上の取得」かつ「就業日を除いた日数でのカウント」が重要なポイントです。

【賞与にかかる保険料の場合】
育児休業期間中の賞与保険料については、賞与が支給された月の末日を含む「連続した1か月を超える育児休業」を取得している場合に限り、その賞与にかかる健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。

☆ポイント

  1. 「1か月を超える」とは、暦日で土日等の休日も期間に含みます。
  2. 育児休業の開始日と終了日が明確に定められており、その期間が1か月を超えている必要があります。
  3. 月末に育児休業を取得しているだけでは免除されない点に注意が必要です。

○注意点とよくある誤解

  • 有給・無給に関わらず免除対象になります。
  • 雇用保険料は免除されないため、給与や賞与が支払われていれば雇用保険料は発生します。
  • 短期間の育休や途中出勤がある場合は、免除対象になるかどうか慎重な判断が必要です。

 育児休業中の社会保険料免除制度は、育児と仕事の両立を支援する大切な仕組みです。制度を正しく理解し、適切な手続きを行うことで、従業員の安心にもつながります。企業としても、制度をしっかり理解してその活用をサポートしていくことが求められます。就業規則サポートセンターでは、育児介護休業法の規程の整備や事業主に求められる措置のご相談に応じています。お気軽にお問い合わせください。

《この記事を書いた人》

永井正勝/社会保険労務士 歴28年
川崎市役所、独立行政法人環境再生保全機構、総務省年金記録確認神奈川地方第三者委員会の職歴を経て、平成19年に社会保険労務士登録。平成20年にあすか社会保険労務士事務所を開業。「人を大切にする企業づくりから、社会に誇れる企業」へと成長する支援に尽力する『誠意の社労士』

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