最低賃金が改訂されたことにより、会社がやらなければならないこと…とは

先日、2024年の最低賃金が改定されることがニュース等で話題となりましたね。今回はこの最低賃金について、少し触れてみたいと思います。

最低賃金とは、法律に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。(厚生労働省HP「最低賃金制度の概要」から一部引用)

最低賃金には、地域別(都道府県別)最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2種類がありますが、一般的には地域別最低賃金が適用される労働者が多いと思いますので、今回は主に地域別最低賃金についてお話します。

最低賃金は、パート・アルバイトを含めすべての労働者に適用され、その対象となる賃金は、実際に支払われる賃金総額から残業代や通勤手当等の一部の対象外となる賃金を控除したものになります。単純に時給制の労働者で、特に手当が支給されていなければ、その時給額が最低賃金以上となっていれば問題ありません。
また、月給制の場合は、対象となる賃金総額を1か月平均所定労働時間で割り返した額が1時間単価になり、その額を最低賃金額以上としないといけません。

今年の地域別最低賃金額の改正では、全国平均の上昇額は50円となることが予定されています。ここ1~2年続いている物価高に対応することが目的かは分かりませんが、上昇額は過去最高になりそうです。

使用者にとっては、人件費の増加や、パート労働者等で配偶者の扶養の範囲内の年収で働く人の労働時間は減らさないといけなくなり、人手不足に拍車が掛かることは簡単に想像ができます。
また、社会保険に加入されている労働者の時給が上がり、これに伴って保険料の見直しの対象となった場合は、保険料も増えます。

■従業員の時給(時間単価)が最低賃金額以上となるか、必ず確認しましょう。

さて、最低賃金額が改正された場合、会社としてどのように対応する必要があるでしょうか。まずは、全労働者の時給額(時間単価)が最低賃金額以上になっているか確認をします。
もし、今年の改正により、最低賃金額を下回ることになった場合は、対象者の時給(時間単価)の引き上げ額を検討しましょう。
また、事業所の賃金規程等に最低賃金に関する定めがあれば、規程の変更が必要になる場合があります。

時給額(時間単価)が最低賃金額を下回っていたことに気がつかず、給与計算をしてしまい、それが後になって発覚した場合は、残業代を含む未払い賃金として過去3年分の差額を請求される場合もありますので、注意が必要です。

就業規則サポートセンターでは、時給(時間単価)が最低賃金額を上回るかどうかの検証と、賃金規程等の見直しのアドバイスをしています。労働者の賃金が、最低賃金額以上となっているか不安なときや、計算方法が分かならい場合は、ぜひご相談ください。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

《この記事を書いた人》

永井正勝/社会保険労務士 歴28年
川崎市役所、独立行政法人環境再生保全機構、総務省年金記録確認神奈川地方第三者委員会の職歴を経て、平成19年に社会保険労務士登録。平成20年にあすか社会保険労務士事務所を開業。「人を大切にする企業づくりから、社会に誇れる企業」へと成長する支援に尽力する『誠意の社労士』

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