こんにちは!就業規則サポートセンターです。
日に日に秋らしくなってきていますね。秋は行楽シーズンと言われています。10月は年次有給休暇取得促進期間ですので、年次有給休暇を上手に活用して、空いている平日にゆっくり観光するのも良いですよね。
さて、今回はその年次有給休暇の積極的な活用方法の一つ、「時間単位年休」について取り上げます。
近年、育児をしながら働く方や、親の介護をしながら働く方も増えており、子どもの病院付き添い、親の介護などで仕事を途中で抜けざるを得ないといった悩みを持つ方も多くなっています。そんな時、年次有給休暇を半日や1日単位ではなく、1時間や2時間といった必要な時間で取得できたらいいですよね。
このような時に有効なのが1時間単位の有給休暇(以下、「時間単位年休」といいます。)の取得です。
「時間単位年休」の現状
厚生労働省が公表している令和3年就労条件総合調査によると、時間単位年休の導入状況は、導入している企業は全体の22%となっていて、企業規模別にみると99人以下の企業が最多で、業種別では「教育・学習支援業」が最多という結果になっています。一方、導入していない企業の理由としては、「勤怠管理が煩雑になる」、「すでに半日単位の年休取得制度がある」、「給与計算が複雑になる」といった意見が多くなっています。
時間単位年休を導入するためには?
時間単位年休を導入するには、就業規則への記載と労使協定の締結が必要になりますが、次のようなポイントがあります。
- 対象従業員の範囲を定めます。
例えば、工場など一斉にラインを稼働させる作業を行うことが必要とされる業務に従事する従業員などにはなじまない場合があるので、職場・職種等を単位とするために対象従業員の範囲を定めます。 - 時間単位で取得できる日数の上限を定めます。
時間単位年休を取得できる上限は1年に5日間とされているため、労使協定は5日間の範囲内で上限日数を定めます。 - 時間単位年休の1日の時間数を定めます。
通常は、「所定労働時間」を基準に定めます。所定労働時間が8時間であるにも関わらず、時間単位年休は1日6時間とするなど、1日の所定労働時間を下回って協定することはできません。
また、所定労働時間が7時間30分や7時間45分であれば、端数を切り上げて「8時間」とする必要があります(通達:平成21年5月29日基発第0529001号)。
まとめ
時間単位年休は、会社側の労務管理の負担は増しますが、従業員には使い勝手がよく、従業員の多様なニーズに応えることができ、従業員満足度を向上させ、ワークライフバランスの充実も期待できます。
導入がまだの会社は、ぜひ一度検討されてはいかがでしょうか。
時間単位年休の導入に伴う就業規則の変更や労使協定の締結についてご質問等ありましたら、お気軽に就業規則サポートセンターへお問い合わせください。
《この記事を書いた人》
永井正勝/社会保険労務士 歴28年
川崎市役所、独立行政法人環境再生保全機構、総務省年金記録確認神奈川地方第三者委員会の職歴を経て、平成19年に社会保険労務士登録。平成20年にあすか社会保険労務士事務所を開業。「人を大切にする企業づくりから、社会に誇れる企業」へと成長する支援に尽力する『誠意の社労士』