創業当時から、顔見知りの社員構成でスタートした事業ということもあり、就業ルールはその時々で判断しながら経営を行ってきました。とはいえ、社長の基準だけではワンマン経営となってしまうこともあり、皆で大まかなルールを作り、細かいことは個別に判断しながら社員に周知してきました。
創業から数年間はこれで全く問題なく、社員との関係も良好で会社運営ができていましたが、ある時、知り合いの社長さんから従業員の病欠についての苦労話を耳にしました。この社長さんは、これにより従業員とトラブルに発展したようですが、私は、これまで一緒の頑張ってきた従業員と「トラブルなんて…」と少し冷めた目で見ていました。
しかし、実際に自社にも同じようなことが起きたのです。IT業というのは、業界的にも年齢的に若い人材が多いことで気にもしていなかったのですが、あるとき従業員が入院することになったのです。手術を伴う入院でしたが、幸いにも2週間程度の休暇があれば職場復帰できる程度のものでしたが、このときに感じたのです。
休職についてのルールがないことで、従業員は不安な日々を送ったのではないか?ということ。退院した後に、収入が減少することで生活に支障がでて困ってしまうのではないか?と、私は心配してしまいました。
これまで一生懸命働いてくれた従業員ですから、そんな想いはしてほしくないし、そんな思いはさせない!と私自身は信念をもっておりましたが、それを伝える機会が全くなかったことに気がついたのです。従業員を想う気持ちは、言葉だけでしかなく、日々の関係性の中で「信頼」だけがたった一つの頼れるものでした。知り合いの社長さんから聞いた「トラブル」も、もしかしたらそんな不安から生まれたものかもしれないと思ったとき「就業規則を作ろう」と決意しました。
そう思ったとき、いろいろなことが気に掛かりました。そもそも、これまで法令遵守した経営をしていたのだろうかと。経営者と従業員というのは、ときに相反する意識や価値観を持つものですが、本来は同じ場所で働く「仲間」なんですよね。
その仲間のために職場環境や待遇を整備して、それをしっかりと伝えることが私の役目と目が覚めました。
就業規則サポートセンターの永井さんに初めて会ったのは、弊社の顧問税理士の紹介でした。初めてお会いした時、永井さんの口調や傾聴姿勢、また雰囲気から「この人は頼れる!」と感じたのを覚えています。疑問に思ったこと、これまでの自社のスタイルやルールなど、気になったことを直に聞き、それに対して丁寧に誠意をもって答えてくれるお姿は、頼れると信じた自分に間違いはなかったと思わせてくれるものでした。
打ち合わせを何度も繰り返していく中で、本当の会社経営というものはどういうものなのか?従業員ファーストとなる職場環境を作ると、どんな結果が得られるのか?そんな未来の姿を想像することができる就業規則へのアドバイスは、私にとってポジティブな経験となり大変勉強になりました。
この就業規則をもって弊社はまた新たなスタートと挑戦ができると思います。本当にありがとうございました。